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けれども、さしあたり次の二点には注意を払っておかなければならない。
まず、販売を社員の仕事の中心とする業態では全社員に年俸制を適用する試みもあらわれている。
ダイエーが代表的である。
ほかにもアイフルホームテクノロジー、ノエビア、協同広告(日経連1995)などの事例が紹介されている。
業績反映型のボーナスというかぎりでは、仕事の性質上、もっとも業績評価になじみにくいと思われる公務員管理職の世界にも、その導入が人事考課の強化とともに試みられている。
東京都、名古屋市、岐阜市などがそうだ。
もっとも東京都の場合など、96年夏のボーナスにみる平均格差は従来の2万円から3万円に拡大するだけであり、ホンダ、富士通、新日鉄などでは年間200万円もの差がつくのに、「官」ではまだ「横並び」意識が根づよいと不満気である。
個人間賃金格差の拡大以上に述べた賃金体系の能力主義的再編が労働者にもたらすものはなによりも、同じような年齢・勤続クラスに属する従業員の間での賃金格差の拡大である。
といってももちろん、そのかわり同じ種類の仕事ならば同じ賃金という職種別賃金になるわけではない。
もともとそのシステムを欠く私たちの国では、賃金格差の変化は年齢ベースでみるほかないけれども、能力主義的な賃金支払いとは、要するに「職種」をふくむなんらかの集団的属性による賃金の一律決定の克服であり、査定による個人別決定のことなのである。
ともあれ、この節の結びとして、年齢という日本的な基準によるものではあっても、現在の個人間賃金格差の状況と変化の見通しをかんたんに総括しておこう。
能力主義の影響をみるには、さしあたり対象労働者の層をしぼり込むほうがよいかもしれない。
2つの資料がある。
1994年実施のある調査では、大企業の人事担当者たちは、年齢別の平均賃金がピークになる時点の査定幅を20.5%と把握している。
そして彼らの考えでは、この比率は10年後には28.2%に高められるべきである。
前項に紹介した賃金体系変更の例をみれば、この希望はまずかなえられよう。
いまひとつ、この節のはじめでもつかった労働省委託の調査は、同一年齢の社員(大卒ホワイトカラー正社員)に関する興味ぶかい状況、年齢とともに拡大する格差の比率を報告している(「トップ」は上位10%の人、「最下位」は下位10%の人)。
ここから実際の年収差はどれほどになるか概算してみよう。
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